○千葉市中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例

平成7年12月25日

条例第53号

目次

第1章 総則(第1条―第5条)

第2章 建築計画の事前公開(第6条・第7条)

第3章 建築計画の報告(第8条)

第4章 あっせん(第9条・第10条)

第5章 調停(第11条―第19条)

第6章 雑則(第20条―第22条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は,中高層建築物の建築に関し,市及び建築主等の責務,建築計画の事前公開,紛争のあっせん及び調停その他必要な事項を定めることにより,良好な近隣関係を保持するとともに,安全で快適な住環境の保全及び形成に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例における用語の意義は,建築基準法(昭和25年法律第201号)及び建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)の例による。

2 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 住居系地域 第一種低層住居専用地域,第二種低層住居専用地域,第一種中高層住居専用地域,第二種中高層住居専用地域,第一種住居地域,第二種住居地域及び準住居地域並びに用途地域の指定のない区域をいう。

(2) 非住居系地域 住居系地域以外の地域をいう。

(3) 中高層建築物 次に掲げる建築物をいう。

 住居系地域内にある建築物(その一部が住居系地域内にあるものを含む。)で,その高さが10メートルを超えるもの

 非住居系地域内にある建築物(その一部が住居系地域内にあるものを除く。)で,その高さが15メートルを超えるもの

(4) 近隣住民 次に掲げる者をいう。

 中高層建築物の敷地境界線からの水平距離が15メートル以内の範囲で,かつ,中高層建築物の外壁又はこれに代わる柱の面からの水平距離が当該中高層建築物の高さの1.5倍以内の範囲において,土地を所有する者又は建築物の全部若しくは一部を所有若しくは占有する者

 中高層建築物の外壁又はこれに代わる柱の面からの水平距離が当該中高層建築物の高さの2倍以内の範囲で,かつ,当該中高層建築物(当該中高層建築物に附属する看板,広告塔その他これらに類する工作物を含む。)により冬至日の真太陽時による午前9時から午後3時までの間に日影を生ずる範囲において,土地を所有する者又は建築物の全部若しくは一部を所有若しくは占有する者。ただし,土地又は建築物の全部が非住居系地域にある場合において,当該土地を所有する者又は当該建築物を所有若しくは占有する者を除く。

(5) 周辺住民 次に掲げる者をいう。

 中高層建築物の敷地境界線からの水平距離が15メートル以内の範囲において,土地を所有する者又は建築物の全部若しくは一部を所有若しくは占有する者

 中高層建築物(当該中高層建築物に附属する看板,広告塔その他これらに類する工作物を含む。)により冬至日の真太陽時による午前9時から午後3時までの間に日影を生ずる範囲において,土地を所有する者又は建築物の全部若しくは一部を所有若しくは占有する者

 中高層建築物の外壁又はこれに代わる柱の面からの水平距離が当該中高層建築物の高さの2倍以内の範囲において,建築物の全部又は一部を所有又は占有する者

 中高層建築物により,テレビジョン放送の電波の著しい受信障害が生ずると予測される者

3 この条例において「紛争」とは,中高層建築物の建築に伴って生ずる周辺の住環境に及ぼす影響に関する周辺住民と中高層建築物の建築主との間の紛争をいう。

(適用除外)

第3条 次に掲げる場合については,この条例は,適用しない。

(1) 住居系地域内にある建築物(その一部が住居系地域内にあるものを含む。)を増築又は改築する場合であって,当該増築又は改築に係る部分の建築物の高さが10メートル以下のとき。

(2) 非住居系地域内にある建築物(その一部が住居系地域内にあるものを除く。)を増築又は改築する場合であって,当該増築又は改築に係る部分の建築物の高さが15メートル以下のとき。

(3) 建築基準法第85条に規定する仮設建築物を建築する場合

2 災害対策その他これに類する理由により緊急に中高層建築物を建築する場合については,市長が公益上やむを得ないと認めたときに限り,第2章及び第3章の規定は,適用しない。

3 中高層建築物の建築主が国又は地方公共団体である場合については,第3章の規定は,適用しない。

(市の責務)

第4条 市は,中高層建築物の建築に係る紛争を未然に防止するよう努めるとともに,紛争が生じたときは,迅速かつ適正な解決を図るよう努めるものとする。

(建築主等の責務)

第5条 中高層建築物の建築主,設計者及び工事施工者は,中高層建築物の建築を計画するに当たっては,周辺の住環境に及ぼす影響に十分配慮し,安全で快適な住環境の保全及び形成に努めなければならない。

2 中高層建築物の建築主及び周辺住民は,紛争が生じたときは,相互の立場を尊重し,互譲の精神をもって,自主的に解決するよう努めなければならない。

第2章 建築計画の事前公開

(標識の設置等)

第6条 中高層建築物の建築主は,周辺住民にその建築計画の周知を図るため,規則で定めるところにより,当該中高層建築物の建築計画の概要を表示した標識を設置しなければならない。

2 中高層建築物の建築主は,前項の規定により標識を設置したときは,速やかに,標識の設置に関する届出書を市長に提出しなければならない。

(建築計画の説明)

第7条 中高層建築物の建築主は,次条の規定による報告書の提出を行う前に,近隣住民に当該中高層建築物の建築計画について,規則で定める事項を説明しなければならない。

2 中高層建築物の建築主は,当該中高層建築物の建築計画について,近隣住民以外の周辺住民から説明を求められたときは,前項の規則で定める事項を説明しなければならない。

第3章 建築計画の報告

(建築計画の報告)

第8条 中高層建築物の建築主は,規則で定めるところにより,前条の規定により行った説明の状況等を記載した報告書を市長に提出しなければならない。

2 前項の報告書は,第6条第2項の届出書を市長に提出した日から起算して10日を経過した日以降で,かつ,次に掲げる手続をしようとする日のうち最も早い日の20日前までに提出しなければならない。

(1) 建築基準法第6条第1項又は第6条の2第1項に規定する確認の申請

(2) 建築基準法及び建築基準法施行令の規定に基づく認定又は許可の申請のうち規則で定めるもの

(平成11条例23・一部改正)

第4章 あっせん

(あっせん)

第9条 市長は,周辺住民及び中高層建築物の建築主(以下「紛争当事者」という。)の双方から紛争の調整の申出があったときは,あっせんを行う。

2 市長は,紛争当事者の一方から紛争の調整の申出があった場合において,相当の理由があると認めるときは,あっせんを行うことができる。

3 前2項の申出は,当該紛争に係る中高層建築物の建築工事の着手前に行わなければならない。

4 市長は,あっせんのため必要があると認めるときは,紛争当事者に対し意見を聴くため出席を求め,又は必要な資料の提出を求めることができる。

5 市長は,紛争当事者間をあっせんし,双方の主張の要点を確かめ,紛争が適正に解決されるよう努めなければならない。

(あっせんの打切り)

第10条 市長は,あっせんに係る紛争について,あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは,あっせんを打ち切ることができる。

第5章 調停

(建築紛争調停委員会)

第11条 市長の付託に応じ調停を行うとともに,市長の諮問に応じ紛争の予防と調整に関する重要事項について調査審議するため,千葉市建築紛争調停委員会(以下「調停委員会」という。)を置く。

2 調停委員会は,委員10人以内をもって組織する。

3 委員は,法律,建築又は環境等の分野に関し学識経験を有する者その他市長が適当と認める者のうちから,市長が委嘱する。

4 委員の任期は,2年とし,再任を妨げない。ただし,委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は,前任者の残任期間とする。

(委員長及び副委員長)

第12条 調停委員会に委員長及び副委員長を置く。

2 委員長及び副委員長は,委員の互選により定める。

3 委員長は,会務を総理し,調停委員会を代表する。

4 副委員長は,委員長を補佐し,委員長に事故があるときは,その職務を代理する。

(小委員会)

第13条 調停委員会に付託された調停は,3人以上の委員からなる調停小委員会(以下「小委員会」という。)を設けて行う。

2 小委員会の委員は,調停委員会の委員のうちから,事件ごとに,調停委員会の委員長が指名する。

3 小委員会は,調停のため必要があると認めるときは,紛争当事者に対し意見を聴くため出席を求め,又は必要な資料の提出を求めることができる。

(調停の申出)

第14条 市長は,紛争当事者の双方から調停の申出があったときは,調停委員会の調停に付することができる。

2 市長は,紛争当事者の一方から調停の申出があった場合において,相当の理由があると認めるときは,他の紛争当事者に対して,調停に付することに合意するよう勧告することができる。

3 第9条第3項の規定は,前2項に規定する調停の申出について準用する。

(調停前の措置)

第15条 小委員会は,調停前に,紛争当事者に対し,調停の内容たる事項の実現を不能にし,又は著しく困難にする行為の制限その他調停のために必要と認める措置を採ることを勧告することができる。

(調停案の受諾の勧告)

第16条 小委員会は,必要に応じ,調停案を作成し,紛争当事者に対し,期間を定めて,その受諾を勧告することができる。

2 前項の調停案は,小委員会の委員の過半数の意見で作成しなければならない。

(調停の打切り)

第17条 小委員会は,調停に係る紛争について紛争当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは,調停を打ち切ることができる。

2 前条第1項の規定による勧告が行われた場合において,指定された期間内に紛争当事者の双方から受諾する旨の申出がないときは,当該紛争当事者間の調停は,打ち切られたものとみなす。

(調停委員会等の非公開)

第18条 調停委員会の会議及び小委員会の行う調停の手続は,公開しない。

(調停終了の報告)

第19条 小委員会は,調停が終了したときは,その経過及び結果を調停委員会の委員長に報告するものとする。

2 調停委員会の委員長は,前項の規定による報告を受けたときは,速やかに,調停の経過及び結果を市長に報告するものとする。

第6章 雑則

(措置命令)

第20条 市長は,第6条第1項に規定する標識を設置しない者に対し,期限を付して標識を設置するよう命ずることができる。

2 市長は,第8条第1項に規定する報告書を提出しない者に対し,期限を付して報告書を提出するよう命ずることができる。

(公表)

第21条 市長は,前条の規定による命令をした場合において,その命令を受けた者が正当な理由なくこれに従わないときは,その旨を公表することができる。

2 市長は,第8条第1項に規定する報告書に虚偽の記載をした者について,その旨を公表することができる。

(委任)

第22条 この条例に定めるもののほか,この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。

1 この条例は,平成8年4月1日から施行する。ただし,第2章の規定は,同年3月22日から施行する。

2 この条例の施行の日前に第8条第2項各号に規定する申請を行った建築物の建築については,第3章の規定は,適用しない。

3 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律(平成4年法律第82号)第1条の規定による改正後の都市計画法(昭和43年法律第100号)第2章の規定により行う用途地域に関する都市計画の決定に係る同法第20条第1項の規定による告示があった日までの間においては,第2条第2項第1号の規定の適用については,同号中「第一種低層住居専用地域,第二種低層住居専用地域,第一種中高層住居専用地域,第二種中高層住居専用地域,第一種住居地域,第二種住居地域及び準住居地域」とあるのは,「第一種住居専用地域,第二種住居専用地域及び住居地域」とする。

(平成11年3月8日条例第23号)

この条例は,平成11年5月1日から施行する。

千葉市中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例

平成7年12月25日 条例第53号

(平成11年3月8日施行)

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